麗しき星の花
「うん。君たちのおかげで、皇家の血筋ならば可能性があることが分かった。もしものときのために戦力を増やしておきたいんだ。遥か遠くの別宇宙から旅をしてこれる技術に勝つには、それしかない」

「うん……」

「現時点で戦力が足りないことは魔族側も承知のはずだ。内乱は避けるべきだという声があがっているとも聞いている」

「じゃあ、魔族と話して、条約を結べれば……おわり?」

「ああ。けれど、そううまくはいかないだろう。星の発展を促しつつ、内乱を収める。父上の政策は決して間違ってはいない。けれど……反対派を多く生んだのも確かなんだ。肉親を殺された恨みから、魔族と講和条約を結びたくない者たちもいる。そして……自分たちの利益から、戦を終わらせたくない人たちも、いる」

「利益、から?」

「問題は、そういう人たちなんだ」

 ルドルフは憂鬱そうに溜息をついた。

「それを鎮圧するために、手荒な手段を取ったらしい。そこは父上の命令なのかというと……難しいところなのだけれど。ただ、それで報復活動が行われるようになった。狙われているのは私たち皇族、講和条約締結に賛成の各国首脳、そして、君たちもだ」

「俺たちも? なんで?」

「君たちは魔族との友好の架け橋となる勇者殿のお子だ。勇者殿は反対派にとっては邪魔な存在。そして君たちは、勇者殿の足を止める存在になる」

 シンとリィは目を見開いた。

「あ……だから? だから駄目だって?」

 シンはくしゃり、と赤髪に手を突っ込む。

「危ないから……魔族が危険なだけじゃなく……人、が?」

「そう」

 ルドルフが頷いた。

「人は恐ろしい。時として、魔族よりも」

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