過保護な彼にひとり占めされています。
「覚えてるか?2年くらい前だっけ、イベント準備中に木材が倒れてお前が潰されたの」
「え?あー、そういえばそんなこともあったねぇ」
相葉の唐突な言葉に思い出すのは、2年ほど前のこと。あるイベントの設営準備中、ひとつ下の後輩が立ててあった大きな木材を倒してしまったことがあった。
それは運悪く、ちょうど通りがかった私の上に勢いよくのしかかり……私は思い切り潰されてしまったのだった。
「後輩が倒して、お前絶対痛かっただろうに『平気です』って笑って言い切って……後で聞いたら肋骨にヒビ入ってたって」
「うん、まさかヒビが入ってるとは思わなかった」
思い出して笑う私に、その目は『そういうところだよ』と言いたげにじろりと見た。
あの時、本当は痛くて、泣き出しそうだった。
だけど『自分のせいで』とパニックになっている後輩を見たら、そんな姿は見せられなくて。強がり、平気なふりで笑った。
……まぁ、その時は乗り切れたものの、その夜に一気に痛くなって病院に駆け込むことになったわけだけれど。
「その頃からかな。ほっとけなくて、つい目で追いかけるようになったのは」
「え?」
「笑ってると思ったら本当はへこんでたり、見えないところで泣いてたり、かと思えば一直線に仕事してたり……気付いたら、目が離せなくなってた」
そのひと言とともに、握り続けている手にはきゅっと力が込められる。