過保護な彼にひとり占めされています。
「前に村本が、『どこが好きなのか』って聞いただろ。あの時も言ったけどさ、ありすぎるんだよ」
微笑むとその優しい瞳はまっすぐに私を見つめた。
「村本の笑顔も、マヌケな顔も、我慢しやすくて強がりがちなところも……全部が好きなんだ。全部が大切だから、守らせてほしいよ」
一心に伝える想いは、今日も迷いなく、この心へと伝う。
あたたかい。
彼の愛情が、想いが、あたたかい。
「……はくしょんっ!」
ところが、そんな空気をぶち壊すかのように私から発せられたのは勢いのいいくしゃみ。
「ははっ、勢いよすぎだろ」
「すみませんね、かわいげのないくしゃみで……」
「戻るか。日陰はやっぱり冷えるな」
相葉はそう笑うと、私の手から手を離す。そして自分が着ていたジャケットを脱ぐと、私の肩へそっと羽織らせた。
「手冷やしてたから、体も冷えただろ。しばらく着ておけ」
「えっ、でもそれだと相葉が寒いんじゃ……」
「俺は平気。体丈夫だから」
そう冗談混じりに笑うと、その目はじっとこちらを見る。そして愛しそうに目を細めると、優しい指先で私の頬をそっと撫でた。
「……ごめん、あと1分ちょうだい」
「え?」
1分、?
その言葉の意味を問うように首を傾げたその時、相葉はぎゅっと私を抱き締めた。
正面から、体をしっかりと包む腕。見た目より厚い胸板に相葉の体を感じて、何度も心が音を立てる。