過保護な彼にひとり占めされています。
「……嫌だったら、さっきみたいに押し退けて」
『押し退けて』、そう響く低い声に動くことは出来ない。
そんな私の心を知ってか知らずか、相葉は顔を近付けゆっくりと唇を重ねた。
人目から隠れた場所で、交わすキス。
触れては離れ、また触れるその唇を拒むことなど出来ず、寧ろ目を閉じて受け入れている自分がいる。
体を包むコートとその腕、永いキス。それらに全身は熱いくらい体温を上昇させて、冬の寒さなど忘れさせてしまう。
押しのけるなんて、出来ないよ。
さっきのだって、ただの照れ隠し。
本当は、受け入れたい。こっちだけを見て、触れていてほしい。
友情が恋に変わる瞬間を
今、感じている。