過保護な彼にひとり占めされています。



「おーい、村本?」

「はっ!!」



ふと我にかえると、目の前にはひらひらと動かされる大きな手。

見るとそこにいたのは、書類を片手に手をひらひらとさせる理崎さんだった。またぼんやりしてしまっていたのだろう、その顔は私の表情を覗き込むようにこちらを見ている。



「す、すみません!ちょっとぼんやりしてて……」

「いや、いいけど……ていうかお前、昼飯は?今昼休憩だけど」

「え!?あっ!」



辺りを見渡すと、壁の掛け時計が12時35分を指すいつも通りのフロア内は皆休憩に行っているらしく、私以外誰も残っていない。

ぼんやりしすぎてて全然気付かなかった……!



辺りを見て驚く私に、休憩に入ることなく仕事をしていたのだろう理崎さんは呆れた顔を見せながら、近くにあるホワイトボードへ紙を貼り付けた。



「それ、なんですか?」

「ん?あぁ、3日後のクリスマスのイベントの班分け」



背中を向けたまま言う理崎さんに、席を立ちホワイトボードに近付いてその内容を見れば、そこには『12月25日イベント班』の文字と、ふたつの班に分かれて名前が並んでいる。

そう、思えば今日は12月22日。つい先日部署交流会を終えたばかりだと思いきや、一週間後にはクリスマスがやってくる。




< 106 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop