過保護な彼にひとり占めされています。
「確か25日はイベントが2つあるんでしたっけ」
「そ。ひとつは食品メーカーのイベントで、新宿でケーキの街頭販売。もうひとつはデパートのイベントで、渋谷でガラポン抽選会」
クリスマスや年末年始はイベントが多く、1日にイベントが重なることもある。そういった際は、その規模に合わせてこうして数名ずつに分かれて班ごとにイベントに向かうこともあるのだ。
えーと、私は……理崎さんの班だ。自分の名前を『ガラポン』と書かれた班に見つけると、同じ班には理崎さんと名波さんの名前もある。
名波さんも一緒かぁ、心強いなぁ。そう安心するものの、ふと見つけた相葉の名前は『街頭販売』の班にあった。
相葉は新宿のほうの班なんだ……ちょっと残念。仕事だから仕方ないけどさ。
「あ、それ今度の班分けっすか?」
すると、突然耳の後ろから聞こえた声に胸がドキッと跳ねる。
振り向くとそこにいたのは相葉で、その顔は私の背後からホワイトボードを覗き込んだ。
「あー、村本と別の班かー」
「男女の人数の都合でな。残念だったな」
「いや、残念っていうか……またミスやらかしそうで心配だと思って」
その言葉に「ちょっと」と口を尖らせ怒る私に、相葉は鼻で笑う。そんな光景を見て笑いながら理崎さんはその場を後にした。