過保護な彼にひとり占めされています。



ふたりきりとなったフロア内で、おもむろに相葉は問う。



「村本、この日予定は?」

「この日って……25日?特にないけど」

「じゃあ、仕事の後に飯行かないか?折角のクリスマスだし」



クリスマスに、ふたりでご飯?

その響きがつい嬉しくて小さく頷く。



「う、うん。行く」

「じゃあ決まり。当日仕事終わったら俺が渋谷に行くから。駅前で待ってて」



そう言って、その手はポンポンと私の頭を撫でた。



クリスマスに、デート……。なら、その日に伝えたほうがいいよね。

『私も、相葉のことが好き』

その気持ちを伝えるのは、恥ずかしくて怖い。

だけど、こんなにも誠実に気持ちを伝えてくれる彼に、私も応えたいと思うから。



伝え、よう。



……それに、部署交流会も終わって相葉も成宮さんと会うこともないだろうし。

あのバーベキューの日も、相葉は私がやけどをした後ずっと側にいてくれて、成宮さんとはなにもなかったっぽい。尚更、伝えるのなら今だ。



「あっ、いたいた!相葉ー!」



すると、昼食から戻ってきた様子の井幡さんは、フロアに入って早々相葉を見つけると明るい声をかける。



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