過保護な彼にひとり占めされています。
「そういえば、今日仕事終わったら飲みに行かない?折角のクリスマスだし」
「え!?あ、えと、今日は……」
名波さんからの誘いに、いつもなら迷うことなく『はい!』と頷くけれど、今日はさすがに頷けない。
だけどどう断ればいいのやら……ていうか、『相葉とふたりでご飯』なんて正直に断っても大丈夫?
そう頭の中でぐるぐると考えていると、後ろから赤いメガホンが名波さんの頭を軽く叩いた。
「いたっ!ちょっと……理崎!なにすんの!」
「仕事中に後輩を飲みに誘うな。仕事しろ」
振り向く前からそれが誰かなど分かっていたのだろう。怒る名波さんと振り向くと、そこにいたのはやはり理崎さんで、だるそうな目と黄色いハッピがとても不似合いだ。
「もう!いちいち頭叩かないでよ!私の脳の細胞が減っていくんだけど!バカになったらどうしてくれるの!?」
大きな声で反論する名波さんに、理崎さんはうるさそうに耳を塞ぎ顔をしかめる。
「元々バカだろ。ちなみにお前、今夜は俺の手伝いで残業」
「えぇ!?ひどい!!」
「独身がクリスマスをひとりで過ごすハメにならなくていいだけ有難いと思え」
それだけを言うと、理崎さんはやや猫背な姿勢でスタスタとその場を後にした。