過保護な彼にひとり占めされています。



「あっ、えとっ、お疲れ様です!お買い物ですか?」

「うん。折角の日曜のクリスマスに仕事なんて、大変だねぇ」

「あはは、本当ですよね」



本社勤務の彼女は、今日は当然休日なのだろう。最初のフォーマルな印象とも先日のカジュアルな印象とも違う、クール系の印象を与える黒いコートとヒールの高いブーツに、同じ歳には見えず大人びて感じられる。



相葉の件を思うと、当然気まずさを感じてしまう。けれど明るいその雰囲気は、やはり親しみやすく、つられて同じように笑った。



「仕事のあとは、デートの約束でもあるの?」



そんな彼女から投げかけられた、問い。それは私と相葉の予定を知っているのか、探ろうとしているのか。どちらともとれるもの。



「あ、えーと……」



『デート』、その響きに、どう答えようかと戸惑ってしまう。

……だけど、ここで隠したり誤魔化しても意味がない気がする。



そんな思いから、息をひとつ吸い込み声を発する。



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