過保護な彼にひとり占めされています。




心揺れる間にも、当然仕事の時間はやってくる。

11時から始まった抽選会は大盛況で、ひっきりなしに会場を埋め尽くすほどの人が押し寄せた。

ガラガラと抽選器の回る音に、鳴り響く鐘の音。景品に喜ぶ人や落ち込む人の声を聞きながら、頭の中にめぐらせるのは成宮さんの言葉と、相葉のことばかり。



ふたりで過ごせるクリスマスの夜。あんなに仕事終わりの時間が待ち遠しかったのに、今はそうは思えない。



会えない、

なんて言っていいかわからない、

そんな気持ちばかりがめぐる。





「ふー!終わりー!」



時計の針が20時を指す頃。大きな景品を全て出し終え、抽選会は終わりの時刻を迎えた。

日中の大盛況が嘘のようにすっかり寂しくなった抽選会場には、伸びをする名波さんの声が響いた。


そんな名波さんの隣で、私も半日声を出し続け疲れた体で黄色いハッピを脱ぐ。


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