過保護な彼にひとり占めされています。
「テントの撤収とか大きなものは男でやるから、村本たちはもうあがっていいぞ」
通りすがりに声をかけた理崎さんのひと言に、首をかしげる。
「えっ、いいんですか?」
「デパートの人も手伝ってくれるっていうから。このままだと遅くなりそうだし、女性陣だけな」
「やった、一花あがろー」
いいのかな、と躊躇う私に名波さんは遠慮なくあがろうとする。
ところが理崎さんの手は、まだ黄色いハッピを着たままの名波さんの襟を後ろからぐいっと掴んだ。
「ぎゃっ!?」
「お前は別。残業あるって言っただろ」
「えぇ!?なんでよ!やだ!帰るー!!」
そのまま容赦なく歩き出す彼に、名波さんはズルズルと引きずられるように連れて行かれた。
な、名波さん……頑張れ。
「……じゃあ、私は遠慮なくあがらせてもらおうかな」
そうお言葉に甘えて、まだ残って作業をする男性陣へ挨拶をすると、バックヤードにしまっておいた荷物を手にしてデパートから出た。