過保護な彼にひとり占めされています。
……相葉、終わったかな。
心にある、まだモヤモヤと霧がかるような不安。それを引きずりやってきた駅前は、クリスマスソングが流れる中、沢山の人で溢れている。
待ち合わせをする人、手を振り別れる人、数名で集まり話をしている人……それぞれ様々に過ごす人々の中で、視界に入ったのは茶色い髪の背の高い姿。
こんなにも沢山の人の中でもすぐ見つけられるほど頭を埋め尽くす、相葉の姿だ。
「あ、村本。お疲れ」
相葉はチャコールグレーのコートのポケットに手を入れて、壁際に寄りかかっていた。その目は同じタイミングで私を見つけると、笑顔を見せる。
「お、お疲れさま。早かったね」
「あぁ、結構早いうちに完売してさ」
見せられる笑顔に、胸の奥がズキッと痛む。
もし気持ちを伝えて、この笑顔が見られなくなったらどうしよう。
これまでの、ドキドキとキラキラとした時間が、忘れたい思い出になってしまったらどうしよう。
「よし、行くか」
「あ……うん、」
その返事に反して、ぎこちなく俯いてしまう顔。そんな私の顔を覗き込むように、相葉はこちらを見る。