過保護な彼にひとり占めされています。
好き、だよ。
恋人に、なりたい。
心のなかに浮かぶその気持ちに、泣き出しそうになるのをぐっと堪えて、相葉の手から離れると逃げ出すように人混みへと紛れた。
「村本!?おいっ……」
好き、だから逃げ出した。
相葉の本音と向き合うこと
自分の本音を伝えること
それらのことから逃げ出したんだ。
傷つくことが、怖くて。
クリスマスの街を歩く、楽しげな人たちの中を早足で抜けて行くうちに、瞳に込み上げる涙で景色がじんわりとにじむ。
逃げているだけ。怖がりで、弱くて、そんな自分が情けない。恥ずかしい。
だけど伸ばした手を払われるかもしれない、『もしも』の瞬間が怖い。
好きなのに、好きだから。