過保護な彼にひとり占めされています。
カッコワルイ
『ごめんね。……やっぱり、相葉とは付き合えない』
にぎやかなクリスマスソングの中でつぶやいた、その細い声が耳から離れない。
なにかから逃げるような、目を背けるような、そのひと言が。
「はい、これ明日から年明けまでのスケジュールね!全員きちんと確認しておくこと!」
クリスマスから3日ほどが過ぎた、12月28日。
クリスマスシーズンの慌ただしさをそのままに、年末年始を迎えようとしているこのオフィスで、俺は名波さんが配るスケジュール表に目を向けた。
明日から、年明けまで毎日のように入っているイベントたち。
街の活性化イベントや年末休みを利用した婚活パーティー、企業のカウントダウンイベント……ぎっしりと入った予定に、その日その日の行動を考えただけでめまいがする。
……ま、忙しいのはいいけど。
フロアでおとなしく顔を付き合わせるより、気まずくないし。
誰と、かなど名前を出さなくても簡単に顔が思い浮かぶ。
「……はぁ」
明日のイベントに必要なもの、準備しに行くか。
そうため息をつき、俺はスケジュール表をデスクの上に置きフロアを出ると、一階の一番奥にある用具倉庫に向かおうと階段を下りた。