過保護な彼にひとり占めされています。



「村本と最近全然話してないだろ。お前も村本もなんか暗いし」



誰にもなにも言われないから、気付かれていないとばかり思っていた。

けれど、俺の気持ちを知っている理崎さんにはなにかあったことなどすぐに分かってしまったのだろう。



「社内恋愛は結構だけど、このクソ狭いオフィスにそのムード持ち込むなよ」



呆れたように言いながらも、ふたりきりになった場所でこそっと言うそのひと言から、理崎さんの面倒見のよさがうかがえた。



「恋愛もなにも……フラれてますけどね」

「は?」



ぼそ、とつぶやいた言葉に、さすがのその顔も驚いた様子で俺を見る。



「お前らそこそこいい感じだと思ってたんだけど」

「俺も思ってたんすけどねー……『付き合えない』って。女心って、わかんねー」

「あぁ。女ほど分からなくて面倒な生き物もそういない」



「はは」と笑えていない笑顔で笑うと、理崎さんは否定することなく頷き、ダンボールの中身のメガホンや布を取り出す。



「けどなにかあったんじゃないのか?」

「え?」



『なにか』、?

その意味が分からず問い返せば、理崎さんはこちらを向くことなく話を続けた。


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