過保護な彼にひとり占めされています。
「どう考えてもおかしいだろ。いきなりのその答えも、まともに口もきかない態度も」
「まぁ、確かに……」
「図太い名波と違って気にしいだからな。誰かになんか言われたとか、あるんじゃないのか?」
どことなく、思っていた。
村本からのいきなりすぎる返事とそれまでの態度とはまるで真逆の拒絶。それにはなにか、他に理由があるんじゃないか、と。
けど……考えても思いつきやしない。
うーん、と頭を抱えていると、突然ズボンの後ろポケットからヴー、と振動を感じた。
ポケットから取り出した白いスマートフォンを見れば、画面には『受信メール1件』の文字。
それは学生時代の同級生・翠からのメールで、今夜の約束の確認だった。
「メールか?」
「あ、はい。翠からで」
「翠……あぁ、経理部の」
理崎さんは俺が言った『翠』の名前に、少し考えてから思い出したように納得する。
「今度同窓会やろうって話してるんすけど、今夜その店下見ついでに飯食おうって約束してて」
「確か同級生だったって言ってたか」
すると突然その口から「あ」となにかに気づいたようににひと言がこぼされた。