過保護な彼にひとり占めされています。



「ちょっと、弘臣。聞いてる?」



ぼんやりと考えていると、唐突に入り込む不機嫌そうな声。



「へ?あー、ごめん。ボーッとしてた」

「もー!ひどい!」



翠はなにかを話していたらしく、ふと我に返った俺の薄い反応にグロスの塗られた唇を不満そうに尖らせた。




「だから、声かけたら清水さんも来るって言ってたって」

「清水?って誰だっけ」

「えっ、覚えてないの!?かわいそー……あの子学生時代弘臣のことずっと好きだったのに」



そう言われても……清水、清水……。覚えているようないないような、うーんと思い出すように首を捻る。



「意外と結構多いんだよ?弘臣のこと好きだったのに人。さすが、モテ男は違うねぇ」



行儀悪く箸でこちらを指しからかうように言う翠に、「からかうな」とグラスの中のウーロン茶をひと口飲んだ。



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