過保護な彼にひとり占めされています。
「少しつっついただけだよ。でもあの程度の言葉を気にするなんて弱い子だよね、弘臣への気持ちもその程度ってことじゃない?」
平然と言うと、グラスの中のお茶をひと口飲む。
「なんでだよ。お前そういう奴じゃなかっただろ?俺の知ってる翠は、」
『もっと真っ直ぐで優しい奴だった』、そう言葉を続けようとした俺の声を遮るように、翠はバン!とテーブルにグラスを置いた。
突然のその音に、周囲の人々の視線がこちらへ向くのを感じた。
「……私だって自分らしくないって分かってる。けど、好きな人の好きな人に優しくなんてできない」
「え……?」
好きな人の、好きな人?
それはつまり、翠は俺のことを。
「なんでなの!?私の方がずっと弘臣を見てきた、ずっと好きだった!就職して離れて、諦めたつもりだったけど……会ったらやっぱり好きだと思っちゃったんだもん!!」
感情のまま気持ちを伝える翠に、俺は黙ってその言葉を聞く。
「あんな子に、負けたくない。少しの言葉ですぐ折れるような子、付き合ったとして上手くなんていかないよ。私の方が、弘臣のこと幸せに出来るもんっ……」