過保護な彼にひとり占めされています。
「俺の気持ちを疑われても、信じて貰えるまで頑張るって決めたんだ。何度でも伝えるし、フラれても拒まれても、簡単には諦められない」
はっきりと、しっかりと言い切った俺に、翠は少し驚いて視線をテーブルに向けた。
「……かっこ悪い。あんたこそ、私の知ってる弘臣じゃないみたい」
「そうだな。かっこ悪いけど、かっこつける余裕もないんだよ」
『かっこ悪い』、その言葉を否定することなく受け入れ、はは、と笑った俺に、翠は涙をこらえているのか鼻を赤くして深く息を吐き出した。
「……今日は帰るね。同窓会については、また連絡する」
「あぁ、分かった」
席を立ち、バッグやコートなど荷物をまとめながら口を開く。
「私、納得なんてしてないから。弘臣が村本さんを想うように、私だって簡単には諦められないから」
「……うん、」
「……けど、今回は嘘をついた私が悪いと思うから。村本さんに、『ごめん』って伝えておいて」
そしてそれだけを言うと、翠はその場を後にした。