過保護な彼にひとり占めされています。
「なになに、一花どうしたの?」
すると背後からやって来たのは、コーヒーを淹れてきたところなのだろう、左手にカップを持った名波さん。
「名波さん。コピー機が紙詰まり起こしちゃって」
「あー、こいつすぐ詰まるんだよねぇ」
まだピー!ピー!と鳴り続けるコピー機を見て、名波さんがうんざりとした顔を見せる。そしてその手がバン!と本体を叩いた瞬間、コピー機は直ったのか壊れたのか、静かになった。
「これでよし!」
「よくねーよ」
自信満々に言った名波さんの頭を、背後からやって来た理崎さんの手がバシッと叩く。
「いったぁ!なにすんの!」
「お前も他の奴もだけど、コピー機叩いて直そうとするのやめろ。余計壊れる」
「じゃあ新しいの買ってよ。理崎のポケットマネーで」
相変わらず口答えをするように唇を尖らせ言い返す名波さんに、理崎さんは鋭い目でじろりと睨んだ。
このふたりはいつも仲良しだなぁ。
名波さんは相手が上司だということも忘れたように普通に噛み付くし、理崎さんは年上の余裕でそれを上手く流している。
仕事の面ではもちろん、人として相性がいいふたりなのだと思う。