過保護な彼にひとり占めされています。
「えぇ!?相葉がいちかを好き!?」
会社近くのとあるカフェで、名波さんの大きな声が思い切り響き渡る。
「な、名波さん!しー!静かに!」
「あっ、ごめん!」
丁度お昼休憩の時間になったことから、私と名波さんは、話をするついでにと会社から徒歩10分ほどの少し離れた場所にあるカフェへとやってきていた。
本当は理崎さんも一緒にと誘ったのだけれど、『女の話は女同士がいいだろうから』と断られてしまった。
昼時ということで、それなりの人でにぎわう店内。窓際の4人がけのテーブル席に、向き合うように座る私と名波さん。
テーブルの上には、それぞれに注文をしたホットサンドやホットドッグ、コーヒーなどが置かれている。
「でも全然知らなかった……そうだったんだ、相葉がいちかをねぇ」
「私も相葉から言われるまで全く知らなくて……言われてからも、なかなか答え出せなくて」
小声でぼそぼそと説明をする私に、名波さんは驚きながらホットドッグをもぐもぐと頬張る。
「で、いちかは相葉と付き合うの?」
「えっ、いや、その……断った、ばっかりで」
「えぇ!?なんで!?」
てっきり付き合うと思っていたのか、驚き、口の中のパンを飛ばす勢いで問い詰めた。
「なんで、と聞かれると……その」
話しづらい、けれどひとりで抱え込むより聞いてもらえたら少しは楽になるかもしれない。そんな思いで口を開いた。