過保護な彼にひとり占めされています。
「私思うんだけどさ、一花が相葉を好きなら、相葉が本気だろうがからかいだろうが関係なくない?」
「へ?」
「だって、好きなものは好きなんだもん。怖がってる場合じゃないよ、ぶつけるしかない」
もしも、相葉の言葉が嘘だとしても、軽蔑されても、変わらないのはこの心の中の気持ち。
相葉を好きだと、思う気持ち。
「私は傷ついても悲しくても、やらないで後悔するほうが嫌だ。絶対に嫌だ」
いやだ。
その目が、他へ向いてしまうこと。
私を映してくれなくなること。
隣にいられなくなって、笑顔が見られなくなること。
触れられない、こと。
それを分かっていて、なにひとつ動けない自分。
全部、いやだ。
自分が傷つくより、後悔するほうがいやだから。
「……私も、嫌です」
小さくつぶやいた私に、名波さんは手を伸ばすと細長い指でぐしゃぐしゃと私の頭を撫でた。
「じゃあ信じてみようよ。相葉の気持ち、信じて伝えてみようよ」
信じたい。だから、信じる。
あのキスに、愛が含まれていると
感じた想いは本物だってことを。
「……はい、」
しっかりと頷いた私に、名波さんは笑顔で一緒に頷いてくれた。