過保護な彼にひとり占めされています。





一度、断ってしまった私の本当の気持ちを、相葉は聞いてくれるだろうか。

信じて、くれるだろうか。



……ううん、信じて貰うんだ。

『嘘だろ』『信じられない』例えそう跳ね除けられてしまったとしても、相葉が何度でも伝えると言ってくれたように、私も伝えるんだ。

繰り返し、繰り返し。







「観覧の方は通路で立ち止まらずこちらのエリアにお並びくださーい」



翌日。私たちイベント企画部の姿は新宿の街にあった。

新宿東口の駅前広場、そこの特設ステージ場には『新宿の中心で思いを叫ぼう』の文字が書かれた看板が掲げられている。



今日のイベントは、食品メーカー主催の大声コンテスト。

『家族や友人、恋人への感謝や愛など、思いの丈を叫ぼう。そして叫んだ後はこの会社の新商品であるのど飴でケアを』というイベントで、駅前の広場には観覧に来た沢山の人で溢れていた。



『それではただ今より、“新宿の中心で思いを叫ぼう”大声コンテストを開催いたします!』



ステージ上でマイクを使ってハキハキと進行する名波さんは、噛むこともなく聞きやすい声で上手く進めていく。

その進行に、スタンバイしていた参加者はひとりひとり思いの丈を叫び始めた。



けれど、会場内に相葉の姿はない。


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