過保護な彼にひとり占めされています。



……折角決心したのに、今日に限って相葉が休みだなんて。

風邪でもひいたのかな、終わったらお見舞いくらい行く?……って、相葉の家どこか知らないや。



でも明日のイベントは担当会場別々だから、次会えるまでまた日が空いちゃいそうだし……うーん。

気持ちばかりが焦るのに、進まない現実がもどかしい。



そんな私の気持ちなどつゆ知らず、ステージでは女子高生2名が「担任の先生、ヅラだったー!!」と先生の大事な秘密を暴露をしてしまっている。

元気だなぁ、女子高生……。

遠い目をして女子高生たちをちらりと見てから、立ち止まって見ている人を観覧エリアへ入るように促す。



「大声コンテストだってー、すごいね〜」



その時、聞こえてきた声になにげなく目を向けると、そこでは若いカップルがステージを見ながら話をしている。



「ねぇ、大声で私への愛叫んできてよ」

「はぁ?いやだよ。こんな街のど真ん中で愛叫ぶとか、恥ずかしいにもほどがあるだろ」

「えー?恥ずかしいからこそ愛を感じるんじゃん」



そう会話をしながらあはは、と笑い歩いて行く。そんなふたりはしっかりと手をつないでいて、あの日巨大迷路でつないだ大きな手が頭に浮かんだ。



……やっぱり、待っていられない。

あとで理崎さんに相葉の住所聞いて、仕事終わったら行ってみよう。



そう心に決めた、その時。


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