過保護な彼にひとり占めされています。



『それではお次は……あ、飛び入り参加の方ですね、どうぞー!』



マイク越しの名波さんの声にステージに目を向けた。するとそこには、ステージ上に立つ背の高い見慣れた顔……そう、相葉の姿があった。



……へ?相葉?

あ、相葉!?



なんで、今日休んだんじゃ……っていうか、なんでステージの上に!?

まさか今の『飛び入り参加』って、相葉のこと!?



『お名前とお住まいをお願いしまーす』



驚き目を丸くする私に、名波さんは知っていたのか、にこにこと笑顔のまま相葉へマイクを向けた。



『都内在住の会社員、相葉弘臣です』

『相葉さん!本日叫びたいことは、ずばり?』

『好きな人に告白します』



はっきりとそう言った相葉の言葉に、観客からは「おぉー!」と大きな声が聞こえる。そんな中、相葉は一帯を見渡し私を見つけだすと、しっかりとこちらを見つめた。



こ、告白?

え?いきなり、なんで、そんな、え??



驚き、戸惑う私をよそに、相葉はマイクから離れると、大きく息を吸い込み声を発する。



「っ……村本ー!!」



私を呼ぶ相葉の低い声が、駅前の広場に大きく響く。


< 143 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop