過保護な彼にひとり占めされています。



「よく聞け!俺は、お前が好きだ!!」



『好き』、躊躇いなく発せられるその言葉は、変わらないままでいてくれる彼の想い。



「確かに仕事のミスも多くて、ドジで、抜けてるけどっ……でもそれでも、お前がいいんだよ!村本が笑ってくれるだけで、嬉しくて幸せなんだよ!!」



こんな私なのに、私が笑うだけで、幸せと言ってくれる。



「フラれても簡単に諦めなんてつかない!疑うなら、信じられないなら何度でも言ってやる!っ……好きだ!大好きだー!!」



言い切り、「はぁ、はぁ」と息をあげる。その苦しさが、より一層相葉の全力の心を伝えてくれる。



『はい、ありがとうございましたー!届くといいですね!』



名波さんの声に、観客からは「わぁぁ」「かっこいいぞー!」と歓声があがった。

盛り上がる人々の中で、私はひとり仕事も忘れその場に立ち尽くすまま。



こんな大勢の人の前で、そんな恥ずかしいことを言ったりして。度胸があるっていうか、ムチャクチャっていうか。



「……もう、なんなの。本当」



そこまで言われたら、信じないわけがない。

不安も恐れも吹き飛んで、ただ答えを、伝えなきゃと心が前に突き動かされる。



気付けば足は自然と前へ進んでいて、歩きから早足に、さらに駆け足となり、相葉の元へと向かっていく。


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