過保護な彼にひとり占めされています。



「あー……同期が相葉くんだと比べられて大変だろう。君自身もあんまりみたいだしなぁ」



それはつまり、『同期入社の相葉と比べ劣っている』ということ。



「あ、相葉くん。今後彼女をうちの担当になんてやめてくれよー?こういう子がイベント企画だなんて、心配になっちゃうよ」



先ほどの何気ない疑問とは違う、私が下の立場だとわかった途端に向けられたのは、悪意。

あはは、と笑いながら言われたそのひと言に、胸はズキッと痛んだ。



……恥ずかしい。

完全に、仕事が出来ないってバカにされている。みじめで、カッコ悪い自分。

だけど、笑わなきゃ。取引先相手のたったひと言をいちいち気にしていちゃいけない。



堂々と、しなきゃ。

泣くな、怒るな。



「……あは、」



『あはは』、そう必死に笑いを作ろうとした、その時。隣の拳は、ダンッ!と力強くテーブルを叩いた。



「ひっ!?」



思わずびっくりして、悔しさも作り笑いも引っ込んでしまう代わりに驚く声が出た。



な、なに……?

見ればそれは、隣に座る相葉の拳。グーの形でテーブルを叩いたその力強さに、テーブルの上のカップに入ったコーヒーはこぼれそうなほど思い切り揺れた。



「あ、相葉……くん?」



それにはさすがに、男性たちも笑うのをやめ怯んだ様子で相葉を見た。問いかけるように名前を呼ぶ声に、あげられたその顔はにこりと笑顔を見せる。


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