過保護な彼にひとり占めされています。
手元の腕時計が14時過ぎを差した頃、打ち合わせを終えた私と相葉は会社に戻るべく、数時間前に来た道をまたふたりで歩いていた。
「あー、疲れた〜……」
打ち合わせ中はやはり集中しているのだろう。相葉はうーんと伸びをしながら歩き、気の抜けた声を漏らした。
高いビルの並ぶ頭上には、秋晴れの綺麗な青空が広がっている。
結局あの後、男性たちはあれ以上笑ったりからかうことはなく、黙々と打ち合わせは進んで行った。
それもきっと、相葉のあのひと言のおかげなんだろうけど……。
「……さっき、ありがと」
「え?」
不意にぼそっと呟いた言葉に相葉は不思議そうにこちらを見た。
「庇って、くれて。……嬉しかった」
照れ臭さからぎこちない言い方になってしまう。けれど、そんな私を見て相葉はふっと笑った。
「別に庇ってないけど」
「え!?そうなの!?」
「思ったこと言っただけだし、向こうも正論っちゃ正論だけどな。さすがにああいう言われ方聞くとイラっともする」
それは私のためではなく、自分が思ったから、という言い方。けれど押し付ける感じのない言い方に、また少し優しさを感じる。