過保護な彼にひとり占めされています。
「……けど確かに、正論だよね。相葉は同じ時期に入って、どんどん企画通って、沢山イベント運営して成果出してるのに。……私は、なにも出来てない」
思い出すのは先ほどの、男性のひと言。
『君自身もあんまりみたいだしなぁ』
相葉は庇ってくれたけど、私自身がダメだからああやって言われてしまうんだ。
落ち込み呟くと、その手は突然私の頭をくしゃくしゃっと乱すように撫でた。
「アホ。誰かと比べてどうするんだよ」
「え?」
「さっきも言っただろ。村本には村本に合った仕事やペースがあるんだよ。今は学ぶことや悔しさを吸収する時で、それがバネになる時がきっと来る」
こちらを真っ直ぐに見つめて、言い切った。
『私には私の』、そう期待を込めて受け入れてくれる。今の私を否定しない。
「……本当?」
「本当」
そう迷いなく、自信を持って頷いてくれる。まるで、私より私のことを知っているかのようなその言葉に、込み上げるのは安心感。
嬉しい
相葉の言葉が、嬉しいよ。
「……うん、」
笑ってうなずいた私に、相葉の顔からは柔らかな笑みがこぼれた。
「やっぱりその顔だな。村本の笑顔が、一番好きだよ」
笑顔が、一番好き。
さりげなく言われたその言葉に、胸の奥がドキ、と音を立てた。
友情が、恋に変わる瞬間。
それはいつ、どんなタイミングで訪れるのだろうか。
そしてそれはいつの日か、私にも来るのかな。
この胸の音が、恋になるときが。