過保護な彼にひとり占めされています。
*2
あふれるくらい
日を追うごとに、耳から消えない言葉が増えていく。
『村本の笑顔が、一番好きだよ』
そんな嬉しい言葉をまっすぐな目で言うから、本気なのかなとか、思ったりして。
心の奥がなんだか照れくさくて、恥ずかしくて、少し嬉しい。そんな、自分がいる。
「うーん……」
相葉からの告白を受けて、答えも出せぬまま一週間が過ぎようとしているある日。
今日もいつものように仕事に追われる平日の午後のオフィスで、私はひとり用紙を目の前に頭を悩ませていた。
今日の仕事は、イベントのポスター製作。
イベントの企画や準備だけではなく、こういった告知なども自分たちの仕事。そしてこういう雑務は、自然と私に回ってくるのがいつものことだ。
私自身もこういう仕事は得意だからいいんだけど……こうしてデスクでの仕事ばかりで、またイベントプランナーとしての仕事は遠ざかっていく。
「来年のバレンタインイベントのポスターかぁ……写真や画像を使おうか、あえてイラストでほんわかとした感じにしようか」
デスクの上に広げた白い紙に、サラサラとポスターのラフを描いていく。
『ハッピーバレンタイン』の文字を真ん中に、ハートを抱えているクマの絵があるとかわいいかもしれない。
どんな色にしようかな……。
そう考えながら、なにげなしに顔をあげる。すると視線の先では、フロアの端で理崎さんと話している相葉の姿があった。