過保護な彼にひとり占めされています。
「お前のそういう芯がしっかりしたところ、いいよな」
「そ、そう?」
「うん。見てて気持ちいい」
まるで子供を褒めるかのような大きな手に、胸の奥が小さく音を立てる。
いいな、って見つめて褒めてくれる。そのことがちょっと嬉しい。
「聞いても、いい?」
「ん?」
食べる手を止め顔を向けた私に、相葉は頭から手を離すと、ペットボトルに入ったお茶を飲みながら返事をした。
「……相葉はさ、私のどこが好きなの?」
「ぶほっ!!」
まさかそんなことを聞かれるとは思わなかったのだろう。投げかけた質問に、その口は飲みかけたお茶を噴き出した。
「ゲホッ、ゴホッ、ぇほっ!!」
「ちょっと、大丈夫?はい、ティッシュ」
変なところに入ってしまったのか、むせたように咳をする相葉に、近くにあったティッシュを手渡すとその大きな手は受け取り口元を拭う。
「お前なぁ……それ、聞くか?」
「うん。聞きたい」
「そう言われても……」
聞きたい。相葉が、どうして私を『好き』と言ってくれたのか。
その心を知るために、聞きたいよ。
そんな一心で問いかければ、相葉はなにかを考えながらじっと私を見た。かと思えばそっと視線をそらし、「あー……」と自分の頭をかいた。
「……どこって言われても、ありすぎてわからねーよ」
つぶやいた顔は赤く染まっており、その照れ臭さが感じ取れる。
ありすぎてわからない、なんて。そんな真っ赤な顔で言われたら、つられてこの頬もボッと真っ赤になってしまう。
恥ずかしさにお互い食事どころではなくなってしまい、赤い顔を背け合った。