過保護な彼にひとり占めされています。
それから私たちは徹夜で作業に追われ、なんとか飾りや看板の制作を終えることが出来た。
一安心したのもつかの間、まともに寝ないまま翌日は会場準備をし、忙しい相葉や名波さんにいたっては間に他の仕事もし……皆体力も気力も限界で、土曜日を終えた。
そして、迎えた日曜日。
ちびっこ運動会当日の、会場であるスポーツ公園には沢山の親子やギャラリーが押し寄せ、苦労した甲斐あってか、大盛況のイベントとなっていた。
「ままー!みて!くまさんー!」
「本当だ、かわいいね〜」
会場の入り口に置かれたのは、私が作成した大きな看板。
それを見て足を止め笑う親子の姿に、たまたまそこを通りがかった私の顔からは嬉しさに笑みがこぼれる。
よろこんでくれてる……よかった。
「よかったな、喜んでくれて」
心の中と同じセリフに振り向くと、そこにはボールや縄を詰め込んだ段ボールを両手で抱えて持つ相葉がいた。
スポーツイベントということで動きやすいジャージ姿の相葉は、まるで体育の先生のようでグラウンドによく馴染んでいる。
「うん。イベントも大盛況だし、皆がんばった甲斐あったね」
グラウンドの真ん中では、元気に駆け回る子供たちの姿がある。
楽しそうな子供たちも、それを見て本気で応援する家族も、すごく微笑ましい光景だ。
「ちょっと、無駄話してないで働いてくれない?」
するとそこに入り込むハスキーな女性の声に振り向くと、私たちの前にいたのは今回のクライアントである女性……そう、東郷さんだ。
短いショートカットにパーマをあてたヘアスタイルに、汗をかいてもくずれなさそうな濃い化粧、キツい印象を与えるフチなしの眼鏡……といった子育て団体の人にはあまり見えない外見の彼女は、アイラインが念入りにひかれた目で私をじろりと見た。
「わっ!あっ!すみません!」
その視線に、つい私と相葉はピッと背筋を伸ばす。