過保護な彼にひとり占めされています。
「聞いたわよ、あなたが看板の担当だったんですって?何度も何度も確認させられて本当嫌になっちゃったわ」
「す、すみません……!」
電話の時と同様、嫌味っぽい言い方でチクリと刺す。けれど、すぐに「けど」と付け足される言葉。
「まぁ、いいものを作ってくれたからよしとするわ。ありがとうね」
『ありがとうね』
偉そうだけれど、伝えてくれるそのひと言はきっと、彼女の満足感の証。
私の仕事を、認めてくれたということ。
「ありがとうございますっ……!」
嬉しい。その気持ちに深く頭を下げた私に、東郷さんは照れくさそうにその場を去って行った。
「やったな、村本」
隣の相葉からかけられた声に顔を上げると、こちらを見る相葉の表情は自分のことのように嬉しそうな笑顔だ。
その表情に、胸がドキ、と音をたてた。
「うんっ……」
自分のことを、一緒に喜び笑ってくれる。
そんな彼の存在はやっぱりあたたかくて、優しくて、心をいっぱいにしてくれるんだ。