過保護な彼にひとり占めされています。



「そもそも今日の仕事だってねぇ!他の人の尻拭いをアンタが押し付けてきたから……」

「あー、はいはい。うるさい」



声をあげる名波さんに、今度は額をバシッと叩き理崎さんはフロア端の自分のデスクへと向かって行った。

そんなやりとりひとつすらも、仲がいいなぁと感心してしまう。



「あ、いたいた。村本!」



すると、理崎さんと入れ替わるように私の名前を呼びながらこちらへ来るのは、相葉。



「お前明日休みだよな?用事ある?」

「え?特に用事もないけど……」



うちの会社は本来なら日曜休み。だけどこのイベント企画部は日曜にイベントが入っているのが当たり前なものだから、平日に週1度か2度の休みが入る。

今週の私の休みは、火曜日である明日だけれど……それを相葉がたずねる意味が分からず、首をかしげた。



「じゃあ決まりだな。明日俺に付き合え」



そんな私に相葉が普通の顔で言った言葉に、ますます意味が分からず首をかしげる。

明日相葉に付き合え、って……。



「は!?ていうか、なにに!?どこに!?」

「新しいイベント依頼の参考に見にいきたいところがあってさ。理崎さーん、これ経費で落ちます?」

「多分な」



私に簡単に説明をしながら、相葉は話もそこそこに書類を手に理崎さんのデスクへと向かう。

私は椅子から立ち上がると、その後ろ姿を慌てて追いかけた。



「ちょ、ちょっと待ってよ、なんで私となの?そんなのひとりで行けばいいじゃん」



別に予定があるわけじゃない。付き添いが嫌なわけでもないし、寧ろどこかに出かけるのなら楽しそう。

だけど、相葉とふたりでとなるとすんなりとはうなずけない。


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