過保護な彼にひとり占めされています。



「巨大迷路は向こうだね。へぇ、他にも乗り物も沢山あるんだ。迷路終わったら乗ってもいいの?」

「別にいいけど……迷路出た時にそれだけ体力が残っていればいいけどな」

「そんなに大きいの!?」



ネットなどで調べて、ある程度の広さは予想がついているのだろう。苦笑いをしてみせた相葉に、私は予想もつかずパンフレットを眺めるしかできない。



けど相葉は、こうしてわざわざ足を伸ばして考えたりしていたんだ。

デスクに向かって考えることしかしなかった自分とは、その行動力の時点から大違い。



「ねぇ、どうして相葉ってこの仕事に就こうと思ったの?」



園内を歩きながらなにげなく問いかけると、頭ひとつ近く高い位置にあるその顔は不思議そうにこちらを向いた。



「は?なんだよ、いきなり」

「別に。なんとなく、聞いてみようかなって」



確かに、いきなりなにをと思うだろう。けど、その心の中をほんの少し覗きたいと思ったから。



「理由ってほど偉い理由もないけど。街とかで見かけて、ああいう仕事もあるんだなー、面白そうだなーみたいな。で、実際やってみたら面白かったっていう」



相葉は単純だろ、というように笑う。

興味のまま動いている、好奇心のまま考えを練っている。そんなタイプだから、この仕事に向いている人なのかもしれない。



……私とは、正反対だ。



「村本は?」

「え!?」



すると、続いて話の矛先はこちらへと向けられた。



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