過保護な彼にひとり占めされています。
「前にも言っただろ。これからだよ、これから。それに、なりたいものがちゃんと見えてるなら、絶対叶えられる」
「相葉……」
私に微笑み伝えてくれるその言葉は、今日もゆらぎのない真っ直ぐな優しさ。
すぐに自信を失いそうになってしまうけれど、相葉の言葉にはしっかりと頷ける。
「うんっ……」
笑って答えた私に、相葉は愛しそうに目を細めた。
その時、『巨大迷路』と書かれた看板が視界の端に入る。
「あ、ここだ。巨大迷、路……?」
見るとそこには大きなホールの真ん中に『巨大迷路 ゾンビ・オブ・ザ・デッド』と物々しいネーミングの看板が掲げられ、血塗られた装飾の施された入り口からは、真っ暗ななかは見えない。
「こ、これは……?」
「ここの巨大迷路、その時期によっていろいろ内容を変えてるらしくてさ。今はゾンビストリートからの脱出がテーマなんだと」
ぞ、ゾンビ……!?
これじゃ迷路じゃなくてお化け屋敷だよ……!!
おどろおどろしいその外装に、顔を引きつらせ固まる私に、隣に立つ相葉は察したように苦笑いをする。
「こういうの苦手か?ならここで待っててもいいけど」
「え!?いや、でも……」
そう、私はこういったホラー系が苦手。だから出来ればここで待っていたい。
けどこれだけ大きな迷路となると、出てきた相葉とうまく合流出来るかも不安だし、なにより、それまでずっとここでひとりでいなくちゃいけないほうがいや……!!
「い、行く!一緒に行く!!」
頭の中で至った結論に、拳を握り気合いを入れる私に、その顔はどこか不安そうだ。
「本当に大丈夫か?」
「腰抜けたらおんぶしてください!!」
「よし、足もって引きずってやる」
いざ、私たちは巨大迷路の中へと入って行った。