過保護な彼にひとり占めされています。
「っ〜……キャーァァァ!!いーやーぁぁぁぁ!!!」
パニックになった私は思わず大絶叫をあげ、隣にいた相葉に今度は体の正面からしがみついた。
「うぉっ、村本落ち着けって」
「いやー!無理ー!やだー!お化けー!!」
相葉は私をなだめるものの、驚きと恐怖に落ち着くことなどできない。とにかくもうゾンビを見ないように、なにも聞こえないようにと相葉の胸元へ顔を押し付ける。
「……大丈夫だって、よしよし」
すると、その手はそっと私を抱きしめると、ポンポンと優しく背中を撫でた。
子供をなだめているかのような仕草。けれど、その穏やかな声と少し熱い手に安心感が込み上げる。
「ゾンビももう行ったよ、ほら」
「本当……?」
その声に後ろを見れば、ゾンビは一度驚かせたことで満足したのか、あまりの私の驚きにまずいと思ったのかその場から姿を消していた。
よ、よかった……いなくなった。
「本当びっくりした……怖かったぁ〜……」
深く息を吐き顔を上げると、目の前にはこちらを見る相葉の顔。よくよく見れば、私は相葉にしがみついているし、相葉は私を抱きしめているし……と、互いに体がぴったりとくっついた状態でいることに気づいた。
「わっ……わー!!キャー!!」
今度はそのことに驚き、大声をあげ離れると、相葉はうるさそうに顔を歪めて笑った。
「本当、忙しすぎだろ」
「だっ、だっだって……」
咄嗟にとはいえ抱きついたのは自分だけど、まさかそのまま抱きしめられるとは思わず……。
今更込み上げる実感に、かああと頬が赤くなり心臓がバクバクと鳴り出す。
「っ〜……行こ!」
それを誤魔化すように私は出口のほうへと向かい歩きだした。
相葉といると、楽しい。けど、時々、無意識に近付いてからその距離に意識をしてしまう。
意識をしたら止まらなくて、全身が熱くて、心臓がうるさくて、どうしようもない。
ドキドキ、ドキドキと、胸が音を立てる。