過保護な彼にひとり占めされています。
「やっと出たー!」
出口から外に出ると、一気に明るくなる景色に私と相葉は達成感いっぱいに伸びをした。
ただでさえ長いのに、恐怖もあったものだったから余計長く感じられたこの巨大迷路。開放感もあり、喜びもひとしおだ。
「っと、ちょっといいか?メモ取る」
すると外に出て早速、相葉は自分のスマートフォンを取り出すと、なにやら画面を操作しメモを取り始める。
それを横からちらっと覗き込むと、そこには『迷路内には小ネタを少しずつ仕込む』『長い迷路の場合、暗いと緊張感は出るが閉塞感が課題』など、自分が迷路に入って感じたことをスラスラとメモに打ち込んでいた。
いろんなことを考えながら歩いていたんだなぁ……。ワーキャー言ってただけの私とは大違い。
感心するように見ていると、相葉はメモを終えスマートフォンをポケットへとしまった。
「さて、今15時……少し乗り物乗ったら、夕飯食いに行くか」
「わーい!相葉さんごちそうさまでーす!」
付き添う代わりに夕飯は相葉のおごりの約束だ。美味しいごはんと、こうして動いたあとのビールの味を想像してついテンションが上がる。
はっ!でもこの前は、こうして飲みに行ったあとにキスされたんだった!
そういうことがあったあとにまたのこのこと飲みに行くなんて……。
ていうかそもそも、相葉の気持ちを知ったうえで答えも出さずに、仕事とはいえこうしてふたりで出かけたり、さっきみたいに触れたり……私って、最低!?
期待させてるかもしれない。けど、今までと同じように相葉と笑っていられる関係でいたい。
……でもそれは、私のワガママかもしれない。
答えは出せないのに、このままでいたい、なんて。
今更あれこれと深く考えてしまい、突然黙り込む私に、相葉は不思議そうにこちらを見た。