過保護な彼にひとり占めされています。
私の夢は、いつか大きなイベントを成功させて、イベントプランナーの更に上であるイベントプロデューサーとして活躍をすること。
……が。現実はそう上手くはいかず、プロデューサーどころか、プランナーとしても半人前。
そう、私の今の立場はアシスタントプランナーだ。
というのも、私には企画力というものがない。
イベントを作りたい、プランナーになりたい、その気持ちでこの職業を目指した。
けれど、私の提案する企画はどうも普通で、大体が社内会議でボツになり、運良くクライアントに提案出来るところまで残ったとしても『なんか普通だな』と断られてしまうことばかりだ。
おまけに人を動かしたり、場を仕切ったりする行動力もない。
寧ろ雑用や細かい仕事が得意で、おかげで雑務ばかりを任せられる日々。
どんな小さな仕事だって、会社に必要な仕事のひとつだって分かっている。だけどこれでは……プロデューサーなど、夢のまた夢だ。
「それでは、当日の段取りと致しましてはこちらの企画書のほうにまとめさせて頂いております」
打ち合わせのためやってきたのは、今回のクライアントである飲料メーカーの会社である新宿にあるビル。
通された応接室で書類を取り出す名波さんの隣に座り笑顔を見せる私に、相手側……スーツを着た40代くらいの女性は「へぇ」と書類へと目を通した。
笑ってはいけないような、独特の緊張感の中でも隣に座る名波さんは毅然としていて、見習わなければと私はいっそう背筋を伸ばした。