過保護な彼にひとり占めされています。
「イベント企画者に声かけてもしょうがないのに……それでも声をかけずにはいられないんでしょうねぇ」
一方で井幡さんは、そんな相葉を羨むような目で見る。
「いいなぁ……俺なら絶対こっそり連絡先交換しちゃうのに」
「バカね。あれだけモテる男ならわざわざ婚活パーティーの参加者から見つけなくても、日頃からよりどりみどりでしょ」
よりどりみどり……ねぇ。
名波さんの言葉を聞きながら相葉を見れば、相葉は取り囲む女性たちに愛想笑いで丁寧に対応をしている。
あの光景にまた、昨日の井幡さんの『あれだけモテれば女なんて取っ替え引っ替えだろう』という話に説得力が出てきてしまう。
「すみません、仕事に戻らなくちゃいけなくて……」
そう言いながらこちらを見た相葉と、ばちっと目が合い、気まずくてつい目をそらす。
そんな私を相葉はどんな目で見ているのかが気になるけれど、見れずに背中を向けた。
「このトークタイムが終わったら次はゲーム……あ、ゲームで使う道具まだ車だ」
「あっ、じゃあ私取ってきます!いってきます!」
思い出したように言う名波さんに私はそう挙手をすると、自ら進んで荷物の積んである社用車が置かれた駐車場へと向かい歩き出した。