過保護な彼にひとり占めされています。
「……こっち見ろよ。目、逸らすな」
ぼそ、とささやくとそっと触れる唇。拒むことも、押し退けることも出来るはずなのに、出来ない私に相葉はキスをする。
「……ん……」
この前の触れるだけのものとは違う、求めるような激しいキス。舌で上顎から歯筋を円を描くようになぞると、互いの唾液が交じり合う。
相葉との初めての感触に、意識が遠のきそうだ。
「……ふ、」
それを見計らうかのように相葉がそっと唇を離すと、熱い息が漏れた。
込み上げる熱に赤く染まる私の頬を、相葉は右手でそっと撫でる。その目は、愛おしむように熱い。
「村本相手なら、このまま押し倒して力尽くでどうすることだって出来る。……けどそれじゃあ意味がないことも分かってるから、必死に抑えてるんだよ」
それは、先ほどの私の言葉に対しての相葉の想い。
「からかいだとか、信じられないなら何度だって言ってやる。村本のことが、好きだ。誰より、なによりも……好きだ」
瞬きひとつもせずに、見つめる瞳。通る声は一心に耳の奥に入り込む。
『好きだ』、飾らないそのひと言に、より強く高鳴る心。