過保護な彼にひとり占めされています。
今この状況で、相葉の前で恋愛話なんて気まずすぎるよ!
けど、好きなタイプ……優しくて、話しやすくてあたたかくて、そう考えると思い浮かぶのは相葉の顔。
「って、なんで!」
とりあえずやってきたトイレで、ひとりで声をあげながら否定するように髪をわしわしとかくと、目の前の鏡には頭がボサボサな自分の姿が映る。
ついこの前までは、相葉のことをこんなふうに意識したりなんてしなかった。
けどキスをして触れる度、意識せずにはいられない。いちいち胸はときめいて、全身の熱を上げていく。
「……席戻ろう」
少し時間を置き冷静さを取り戻したところで、私は髪を整え直しトイレを後にした。
よし、今度好みを聞かれた時は無難に『優しい人』だけで済ませておこう。別に相葉のこととか考えてないから!全然違うから!
そう自分に言い聞かせながら席へ向かい歩く。すると、前に立つのは他の席の客たち。
3名ほどのサラリーマンたちはレジへ向かおうとしているのか、細い通路を塞ぐように立っている。
「すみません、通りたいんですけど……」
ここを通らなければ席へ戻れないことから声をかけると、男性たちの視線はこちらへと向けられた。
「ん〜?あぁ、すみませんねぇ」
「おー?お姉ちゃんかわいいねぇ、いくつー?大学生かなー?」
「えっ!」
どうやら大分酔っ払っているらしい。真っ赤な顔にお酒の匂いをぷんぷんとさせた男性たちは、私を見ると笑って声をかけた。