過保護な彼にひとり占めされています。
「す、すみません……失礼します」
「ちょっとちょっと〜、そんなそっけなくしないでよ〜。よかったらこれから飲み直し行かない?一緒に飲もうよ〜」
上機嫌に言うと、ひとりの手は私の腕をがしっと掴む。
ひ、ひぃぃー!
どうしよう、声をあげるべき?でも絡まれただけで大げさ?でも振り払えないし、話は通じそうにないし……!
どうしよう、どうするべきか、そう思考をぐるぐるとめぐらせていると、突然背後から肩をがしっと掴まれた。
驚き振り向くと、そこにいたのは少し猫背な立ち姿の理崎さんだった。
「悪いけど、うちの連れだから」
笑みひとつなく無愛想に言う理崎さんから漂うのは、妙な威圧感。それを感じ取ったのか、男性たちは一瞬にして怯み苦笑いでその場を去って行った。
「理崎さん、なんで……」
「俺もトイレの帰り。大丈夫か?」
「あ、はい……ありがとうございます」
肩を抱いたままの理崎さんからほのかに香るのは、染み付いたタバコの匂い。
……相葉と違う、なんて、そんな些細なことひとつにもまた相葉の存在を頭に思い浮かべてしまう。
「店の中でも意外と声かけてくる奴いるからな。ぼんやり歩いてるとまた捕まるぞ」
「ぼ、ぼんやりなんてしてないですもん」
「へぇ?そんな気の抜けた顔して」
からかうように言うと、理崎さんは肩を抱いていた右手を離し、その手で私の頬をむにっとつまむ。
10歳近く歳の離れている理崎さんは、普段からあれこれ楽しく話す人ではないけれど、時折こうしてかまってきたりする、兄のような人だ。
そのからかいに口を尖らせて不満げな顔をする私に、理崎さんはおかしそうに小さく笑った。
「なーにしてるんすか」
その声に視線を前へ向けると、そこには立っている相葉の姿。
こちらを見るその顔は少し不満そうというか、不機嫌そうで、こちらの様子をうかがっているようだ。