過保護な彼にひとり占めされています。
「何年見てると思ってるんだよ。村本のことなんてお見通しだよ」
何年も、見ている。
相葉は私のことをこんなに知っているのに、私はなにも知らない。
相葉の気持ちも、行動の先も読めない。分からない。
だから、知りたいと思う。
「……じゃあ私にも教えてよ、相葉のこと」
「え?」
足を止めてつぶやいた言葉に、相葉も足を止めてこちらを振り向く。
「相葉のこと、全然分からないから……教えてよ。昨日怒ってた理由も、ちゃんと」
知りたいから、分からないから、教えてほしい。相葉のこと、ひとつひとつ。
目を見てしっかりと問う私に、相葉は少し驚き、戸惑う。けれど観念したように、照れ臭そうに髪をぐしゃぐしゃとかいた。
「あー……あれは、その、八つ当たりっていうか、嫉妬っていうか」
「え?」
「理崎さんに肩抱かれて嬉しそうだし、『大人』だとか『かっこいい』だとか言うし……そんなことに嫉妬してる自分がまた、余裕なさすぎてかっこ悪いっつーか……」
昨日のあの態度は、相葉の余裕のなさの表れ?
顔を背けたままこちらを見ない相葉は、本当はそんな自分を見られたくないのかもしれない。けど、それでも、知りたいと言う私に教えてくれる。
普段は見せないような顔も、見せてくれる。