過保護な彼にひとり占めされています。



「つーか妬かれても……俺もひと回り近く年下のましてや部下に手出しするほど困ってねーよ」



理崎さんはそう言うと、鼻で笑ってその場を歩き出す。



「ま、仲良くやれよ。仕事に支障が出ない程度にな」



積極的に力を貸したり、応援したりするわけではない。けれど軽く背中を押すようなその言葉が、やはり俺たち年下より一歩前を行く“大人”だと思った。



仲良く、ねぇ……。

もともと、俺と村本は仲のいい同期という言葉がよく当てはまるような関係だったと思う。

よく話をしてはじゃれあって、複数人で飲みに行けば自然と隣の席に座るような、近いような遠いような仲。



そんな関係だったから、気持ちを伝えて壊すことなんてしたくなかった。断られて気まずくなるくらいなら、このままでいいと思った。

だけど気持ちを伝えることもせず、想いの大きさを伝える努力もせず、それで諦めなんてつくわけがない。

ましてや、まだ俺は異性という土俵にすら上がれていない。それなのに終わるなんて嫌だ、納得出来ない。



そう思っていたところに訪れた、あの瞬間。

衝動的に伝えキスをして、言葉にした気持ちに、村本は迷って答えをにごした。



『相葉のこと、同期としてしか見たことないし』



その言葉に続いたのは『だからごめん』じゃなくて、『だからわからない』、だったから。

ほんの少し、微かに希望が見えてしまった。



気持ちがわからないなら、答えだってわからないはず。それなら、精一杯伝えるだけだ。



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