過保護な彼にひとり占めされています。
「はいっ、お肉焼けてますよ!」
「おっ、うまそー!」
準備や追加の買い出しを終え、時刻はお昼を過ぎた頃。
ジュウウという焼ける音と、鉄板に並ぶ沢山のお肉や野菜などの食材にいい匂いがたつ。それを囲み、皆はわいわいと楽しそうな声をあげた。
バーベキューが始まり、皆が箸やコップを持つ中、私は鉄板の前で焼いては配りを繰り返していた。
冬の空気は冷たいけれど、火を囲んで熱いものを食べれば自然と体も暖まるもので、私は額にじんわりとにじむ汗を袖でそっと拭った。
「村本さん、焼き係はありがたいけどちゃんと食べてますー?」
「はいっ、もちろん!お肉大好きなので!」
気にかけて声をかけてくれる経理部の女性に、笑って答える。その合間にちらっと見れば、私のいる位置から真逆の位置に離れたところに見えるふたりの姿。
「お前肉ばっかり食ってないで野菜も食えよー」
「食べてますぅー、弘臣こそ相変わらずピーマン食べられないの?お子様〜」
ああ言ってはこう言って、じゃれるように話す相葉と成宮さんは他の人は入り込めないような親密さを見せている。
……いつもだったら、相葉はなにかと声をかけてくれるのに。やっぱり、成宮さんと話してるほうが楽しいのかな。
なんて、勝手に期待して卑屈になる自分がまた嫌だ。
ていうか普通に考えて、言い寄ってもなびかない私より、自分に好意を寄せてくれてる、しかも美人で人懐こい成宮さんのほうがいいんじゃ……!?
見た目も長身の美男美女でよく似合っているし……あぁもう、考え出すとまた嫌な方向に向かってしまう。