Beautiful tears*
---おいっ!起きろ!!-----
平凡な夢の中に雑音が入ってくる。
徐々に意識が現実へと引き戻されていき、変な体勢で寝たからか重い体を起こす。
視界がぼんやりとしたものからはっきりとした時、目の前に短髪で黒髪の男がいた。
『やっと起きたか!!何回も呼んだんだぞ?』
いや、誰。
不思議そうな顔をする男を捉える視界に入ってきた空。
それは朝よりも少し明るくなっていて。
周りを見渡しても、誰もいない。
この状況を踏まえて私の頭が出した結論は
「...もしかして、始業式終わった?」
『終わった。ついでに言うとみんな帰った。』
はぁ。何やってんだろ。
今まで寝過ごすことなんてなかったのに。
「起こしてくれてありがとう。」
普通に常識はある。
みんなが帰ったにも関わらず、わざわざ私を起こしてくれたお礼は言う。
頭の重みで少しヘコんだカバンを持って、学校を出る。
そこで感じた気配。
明らかに後ろからのもので。
ゆっくり振り返ると、あの黒髪の男がいた。
「何してんの?」
『何って帰ってる。』
「そうですか。」
私が歩き出せば、同じように後ろの奴も歩き出す。
門を出たところで、一人の女の子がこっちを見ながら立っていた。