Beautiful tears*
『レイナー!今から倉庫行くんだけど、一緒に来るか?』
「行かない。」
倉庫が何なのか分からないけど、行くとろくなことがなさそうなので、家に帰ろうと踵を返した時
何者かによって阻止される。
『いや、ダメだ!行くぞ!』
その正体は本気で焦ってるようなカナメで。
「どうして私が行かなきゃなんないのよ。」
『どうせ暇だろ?』
こいつ、失礼だな。
確かに?暇だけど?
だけど、そんなはっきり決めつけて言わないでよ。
て言うか暇なぐらいがちょうどいい。
本当なら振り切って、家に帰りたいぐらいだけど
よっぽど私が行かないと都合が悪いのか
必死に頼み込まれ、仕方なく倉庫とやらについていくことにした。
にしても、なにこの空気。
乗せられた車には、助手席にリュウジさんが座り、真ん中の席にはカナメが堂々と座り
そして後部座席に押し込められた、レンと言う名の不機嫌男と私。
押し込められたというより、男の隣に強制的に追いやられたって感じ。
運転してるのは、坊主の厳ついお兄さん。
いや、これアウトなやつでしょ。
カナメ何者なの。
いや、最初から青少年とは思わなかったけど。
ここまでグレてるとは。
『着いたよ。』
相変わらず優しい声色と表情のリュウジさんに言われ、車を降りると目の前に二階建ての建物。
まぁ、倉庫。
カナメに肩を抱かれ、嫌気がさしながらもついていく。