いつか晴れた日に
言わなければ、良かった。

涼は驚いたように目を見開くと、そのまま黙ってしまった。


その様子じゃ、わたしを覚えてないんだね。

じゃ、子供の頃の幸せな記憶も、数日一緒に過ごしたことも、全て忘れてしまったの?


「……変なこと言ってごめんなさい。今のは忘れて」

「安西さん、」

「コーヒー入れてきます」

涼の言葉を遮ると、給湯室に逃げ込んだ。


記憶を失くしてるだけ?
それとも、わたしの知っている涼じゃないの?

どういうことなんだろう?

混乱して思考が纏まらない。


シンクに手をついて溜め息を吐いた。
これから、どうしよう。数日の間、二人で仕事をするのに。
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