いつか晴れた日に
仕事に集中したいのに、怪我した肩が痛んで思うようにパソコンが使えない。
参ったな。定時に仕事を終えて病院に行きたいのに……。
お昼休みも早々に切り上げて、席に戻って仕事をしていた。
事務所には誰もいない。
お昼休みは、ほとんどの人が外に食事に出るため、照明も切っていて薄暗い。
その中で、一人黙々とデータを打ち込んでいた。
「怜奈」
不意に名前を呼ばれて顔を上げると、亜紀が神妙な顔で立っていた。
「え?」
「お昼は食べたの?」
「……うん」
なんとなく気まずくて目を逸らしてしまった。
「手伝うよ」
「えっ?」
驚いて聞き返すように顔を上げて亜紀を見た。
「今、なんて?」
「だから、仕事手伝うって。今日、黒崎君の病院にお見舞いに行くんでしょ?」
そう言うと、亜紀はパソコンの横に置いていた受注書を取り上げて軽快に打ち込んでいく。
「あ、ありがとう」
亜紀にお礼を言って、わたしもデータ入力を再開する。
すると、わたしに聞こえるぐらいの声で亜紀が呟いた。
「池永さんから、全部聞いた」
「……」
「納得したわけじゃないけど、誤解していた部分もあったと思う。……いろいろ、ごめん」
「……亜紀」
「手、動かして」
「うん」
事故でそれどころじゃなくて忘れていたけれど、池永さんは黒崎君に言われたことを守ってくれたんだ。
もちろん、自分の保身でもあったんだろうけど。
参ったな。定時に仕事を終えて病院に行きたいのに……。
お昼休みも早々に切り上げて、席に戻って仕事をしていた。
事務所には誰もいない。
お昼休みは、ほとんどの人が外に食事に出るため、照明も切っていて薄暗い。
その中で、一人黙々とデータを打ち込んでいた。
「怜奈」
不意に名前を呼ばれて顔を上げると、亜紀が神妙な顔で立っていた。
「え?」
「お昼は食べたの?」
「……うん」
なんとなく気まずくて目を逸らしてしまった。
「手伝うよ」
「えっ?」
驚いて聞き返すように顔を上げて亜紀を見た。
「今、なんて?」
「だから、仕事手伝うって。今日、黒崎君の病院にお見舞いに行くんでしょ?」
そう言うと、亜紀はパソコンの横に置いていた受注書を取り上げて軽快に打ち込んでいく。
「あ、ありがとう」
亜紀にお礼を言って、わたしもデータ入力を再開する。
すると、わたしに聞こえるぐらいの声で亜紀が呟いた。
「池永さんから、全部聞いた」
「……」
「納得したわけじゃないけど、誤解していた部分もあったと思う。……いろいろ、ごめん」
「……亜紀」
「手、動かして」
「うん」
事故でそれどころじゃなくて忘れていたけれど、池永さんは黒崎君に言われたことを守ってくれたんだ。
もちろん、自分の保身でもあったんだろうけど。